“伝統の創造”の視点から見る祭り ―日台政策研究所設立記念シンポジウム―
「祭り」といえば、日本では神社のもの、台湾でも廟に関連したものとして、伝統的に共同体と密接に関連しています。しかし、山形市の「花笠まつり」、金沢市の「湯涌ぼんぼり祭り」は、伝統的な祭りのような様相を見せてはいますが、実は近年の創作です。共同体の外から新たに創造された祭りは、祭りや観光誘客の一つの方向性を示していると言えます。
「伝統の創造」とは歴史学者ホブズボームが作った概念であり、彼は近代民族による民族性の創造を否定的に指摘しています。しかし、ここでは「伝統の創造」の肯定的側面に着目し、日本および台湾の地方同士の交流が活発化する今、新たな祭りを創造することで、互いの誘客につながる可能性について考えたいと思います。