2012年2月26日(日曜日)、東京都文京区区民センターにて台湾2・28時局講演会が開かれ、約120名が参加し、有意義な講演と熱い質疑応答が行われた。今年で二・二八事件から65年目を迎えるが、台湾人が勇気をもって占領政府に立ち向かい、アイデンティティーに目覚め、そして、無残にも有為な人材を3万人も虐殺されたこの事件を台湾人は決して忘れてはならない。
王明理・委員長
今年の講演会では、冒頭に台湾独立のために生涯を捧げた人々への黙祷を捧げた後、主催者である台湾独立建国聯盟日本本部の王明理・委員長が二二八事件の概略を紹介した。
澁谷司氏(拓殖大学海外事情研究所准教授)による選挙分析では、パワーポイントによるグラフ提示に加え、選挙グッズを示しての台湾選挙戦の実情紹介があり、中国国民党による買収の濃厚な疑惑、また政治権力を最大限動員した心理操作などが明らかになった。一方で、日本のメディアのニュースソースが現地親中メディアばかりになっているという問題も指摘された。
梅原克彦氏(国際教養大学東アジア調査研究センター教授・前仙台市長)は、台湾の選挙視察や日本での勢力拡張を狙う中国と戦っている最前線について紹介し、それぞれの立場で中国の浸透の意図を明らかにして、備えを固めることが必要であると指摘した。新潟の中国領事館建設、仙台へのパンダ贈呈など、中国による日本への浸透、影響の拡大が計画されており、利権からそれを支持している国内の勢力があって、ダライ・ラマ訪問を拒否した問題などにつながっていることを指摘。そのようななかでの河村・名古屋市長の中国への毅然とした態度について評価した。
黄文雄氏(前台湾独立建国聯盟委員長・拓大客員教授)は、台湾人の視点から、日本人の情熱が台湾人を感動させていること、民進党が選挙監視を一部放棄した問題など30項目に上るさまざまな問題提起を行った。問題が掘り起こされれば対策を講じることも出来るのである。
林建良氏(メールマガジン「台湾の声」主宰・医学博士)は、台湾の両隣は日本と中国であり、台湾は引力の法則で強いほうによっていく。したがって、日本版台湾関係法を具体的に進める動きが必要であると指摘し、「林建良版台湾関係法」を提示した。日本は、「中国を刺激しないようにしよう病」が蔓延していると指摘し、日本には北朝鮮人権法があるのだから、中国人権法をつくるべきではないか、と問いかけた。
(左上)澁谷司氏、(右上)梅原克彦氏、(左下)黄文雄氏、(右下)林建良氏
質疑応答時間には、「台湾から中国への軍事機密漏洩の可能性」について質問があり、「米国は、それを考慮に入れていて、軍備が低いものを台湾に供与している」などの回答が示された。
また、「どうやったら日本の政治家を動かすことが出来るか」という質問に対し、梅原氏は、「河原市長のような信念のある政治家が動きやすい土壌をつくることだ」と答えた。
閉会挨拶に立った宗像隆幸・台湾独立聯盟中央委員は、選挙後の民進党内で対中接近の意見が出ていることについて、「中国に接近する姿勢を持てば、国民党に勝てるわけが無い」と批判した。
終わって懇親会(希望者のみ)が開かれ、参加者の親睦を深めると共に、忌憚のない意見を交換し合った。